この2月、設計していた産婦人科医院建築が、 ようやく工事契約・着工となった。 分娩をあつかう、有床の入院施設のある産院 である。 一昨年の2月に設計依頼の問い合わせから、設計 完了、着工まで2年間を費やしたことになる。 当初、院長先生が「産科医を選んだのは生命の 誕生にかかわれるから」とのお言葉に私どもは 感動し、私どもも「生命誕生の場」つくりに 是非お役に立ちたい、とのおもいで産院建築設計 をお受けした。 産院が他の医院、病院と異なるのは、来院者は主 に五感が正常な健康体であり、来院、入院するこ とは概ねおめでたいこと、にある。 それだけに、医療施設でありながらホテルのよう な快適さ、hospitalの文字どおりホスピタリティ が必要な施設でもある。 そのあたりは弊所が快適な家づくりを手がけてい る経験が役に立つのではないかとおもわれた。 私はかねがね個人住宅設計で培われた快適さの ノウハウを、より多くの方が味わえる、ホテルの ようなものでやってみたかった。 住宅建築の大家:F・ロイド・ライトが日本から の帝国ホテルの設計依頼に飛びつき、日本に5年 もほぼ常駐して設計に打ち込んだ、その気持ちは 私にはよくわかる。 |
弊所の医療建築実績は、これまでに60床の外科 病院1件、何件かの内科、小児科の診療所、 犬猫病院2件、を手がけている。 設計期間は、じっくり進めて次の年内にでも着工 できればよいとのこと。私どもはいままでの経験 を生かしながら、コツコツと業務を進めていけば、 十分できるものとおもえた。 F・ロイド・ライトの帝国ホテルのように、私に とってはこのたびの産院建築設計はビッグチャン スとして精一杯務める。 ところが当方の考えは甘かったようで、産院の特 殊性はおもったより難しく、おもったより時間が かかってしまった。 私の想像力をフルに動員しても、住宅とちがって、 産院医療側、来院者側の心理に感情移入すること が難しく、医療設備と行為、等を把握するのが難 しかった。院長先生からのご鞭撻を受けながら、 2年を経て何とかこのたび着工することができた。 これからも工事監理は大変であるが、少しペース を取り戻して、今般このようにブログを書ける 次第となった。 弊所は他にも数は少ないが高密度の住宅を何件か 手がけている。しかしどれもなかなか時間がかか っている。この産院建築も含めてこれらの竣工は 来年、再来年になろう。 竣工作品として弊サイトにアップロードできるの |
も来年、再来年となろう。 しばらくはNew作品の更新がないことになるの で、いつも弊サイトをご覧になられている方で、 AMOはどうしたのかとご心配される方は、どう かご安心ください。 (・・・誰も心配していないか) ちなみに、F・ロイド・ライトは帝国ホテルの 前後、50代前後に数々の不幸に見舞われ、 公私共に大打撃をうけながらも、60代終わり になってよみがえり、72歳にして世紀の傑作 住宅「落水荘」を造り上げ、再び歴史の表舞台 に返り咲く。 その後80代になってからは ジョンソンワックス社、ユニテリアン教会、と アグレッシブなデザインの作品群、90代にな るころには、グッケンハイム美術館、 マリン群役所、等の大胆奇作となる。(*) 私もF・ロイド・ライトにあやかって、こんな 超人に及ぶべくもないが、この仕事を天職とし て、これからも頑張っていきたいおもっている。 次の作品アップロードするまでは、この弊サイト で久しく間が空いていた「持論」や「時々近況」 を書き込んでいこうとおもっている。 弊サイトをご贔屓の方々に於かれましては、 引き続き弊サイトをクリックのほど、 よろしくお願い申し上げます。 2010年3月15日 篠崎好明 |