最近、なぜかAXIOM80が密かな人気になって いるようだ。ひょんなことから手に入れ愛着されて いる方もおられる。この弊サイトにAXIOM80 のことが記載されているのをキーワード検索から知 ってか、AXIOM80についてのメール問い合わ せがたまにある。これに応えることもあって、私の 知る限りをここに述べてみよう。 この、 GOODMANS AXIOM80 とい うスピーカーユニットは1960年代にイギリスの スピーカーメーカー、GOODMANS社で作られ 、その個性的な音色は当時一世を風靡した。音色も 個性的であるが、その造りも特性も他に類を見ない 独特なものである。口径24Cmのダブルコーン、 そのエッジはフレームから切り離されてフリーエッ ジで、フレームの三方から伸びたベークライトでコ ーン紙が吊られている。 磁束密度は極めて高く、 1万7500ガウスもある。軽いコーン紙を使って いるので能率も断然高い。フラフラ型に近い構造な ので、foが20c/sとこれまた低い。オーデイオ評 論家瀬川冬樹氏もこのスピーカーに魅せられた一人。 実は私のAXIOM80は店で購入したものではな い。たまたま友達の友達が、このスピーカーを鳴ら し切れなくて押し入れに放り込んだままにしてある のを聞きつけ、どんな物か押入から出しててもらい 、聴かせてもらった。 まぎれもなくあの三ツ股の ベークライトでサスペンションされた、 あの AXIOM80、なにか昔あこがれた女性と再会し たように胸がときめいた。そのAXIOM80は、 低音を引き出そうとして、大きめのバックロードホ ーンエンクロージャーに収まっていた。いくらやっ てもシャリシャリしてツウィターぐらいにしか使え |
ない、ということで押入に放り込んでしまったとの こと。私は一聴して、これはヴォイスコイルがマグ ネットをこすっているのと、開発されたばかりのト ランジスターアンプのせいでもあろうと推測した。 しかしチラリと聴こえる鋭敏な音には大いなる可能 性が秘められているのを感じた。そこで、「このス ピーカーは極めて気難しく、それなりに鳴らすには かなりオーデイオテクニックが必要です。もしよろ しければ、私が今使ってるJBLの2ウエイシステ ムと交換しませんか。」と持ちかけた。私のJBL を聴いて納得してもらい、相互交換が成立した。 それまでの一発十数万円もするJBLユニットは自 作箱のせいか、大編成曲やジャズはかなりに鳴って も、軽やかなバロック音楽には不向きで、定位や音 場感は一発1万2000円のフルレンジユニット、 「リチャードアレン・ゴールデン8」の方がずっと ましであった。 我が家にお迎えしたAXIOM80、まず慎重にベ ークライトのサスペンションをドライバーで微調整 し、ヴォイスコイルがマグネットギャップの中央に 位置させ、コイルがマグネットをこすらないように した。 さて、我が管球式アンプ、ラックスSQ−38FD 、で鳴らしてみると、驚くべきほど繊細でおもった より柔らかな音が鳴り響いた。次にバックロードエ ンクロージャーのホーンの喉元にグラスウールを多 めに詰めると充実した中音で中域が埋められた。 次々バッハのバロック音楽レコードを鳴らすと、 バッハはこんなに華麗な音で聴いていいのだろうか? とおもうほど、麻薬的魅力ある音で鳴り響いた。 |
そういえば誰か、「このスピーカーは正しくない。 生の音楽はこんなに美しくは聴こえない。」と いっていたのをおもいだす。 その後「私のAXIOM80」はバックロード ホーンエンクロージャーから、 ARU付き指定エンクロージャーに収め変え、 以来、私の終生の愛聴スピーカーとなっている。 バックロードホーン ARU付き指定 エンクロージャー入り エンクロージャー入り わがオーデイオ出力ラインアップ アンプ:(プリ)QUAD44+(メイン)QUAD606 (本当はWE300Bシングルあたりがいいのだろうが) プレイヤー:DUALオートチェンジャー カートリッジ:オルトフォン(ムーヴィングマグネット) (オルトフォンのムーヴィングコイル+トランスでは どうしてもハムが抜けなかった。) |