DNAからみた家づくり
再び、サイエンス・ノンフィクション(SN)は面白い−3

そして、なんとその翌年の1993年にはステイ
ーブン・J・グールドの来日講演
となる。これは
グールドの最新著「ワンダフル・ライフ」の出版
を機にしての来日であるが、週刊誌「AERA」
の表紙になったり、NHKのテレビインタビユー

など、かなりの反響があった。この講演も受講者
は往復はがきの抽選で決まるというので、私はま
た例の必殺の手、この同じ掲載誌を主催者側に送
り付け、どうにか受講することができた。
講演は国立京都国際会館大会議場で行われたが、
会場は科学関係者のみならず医師や弁護士や建築
家といった様々の分野の人が集まり、大会議場を
いっぱいにした。聞くところによると受講希望者
は定員の倍を越えるものであったという。グール
ドの著書がいかに多くの人を魅了しているかがよ












くわかる。私はなんとかグールドとコミュニケー
ションをとりたかったので、掲載されたものを
“Science Nonfiction Is Most Exciting Now”
というタイトルで英文化した。この英文と掲載誌
を持って講演後のグールドの休憩室に押しかけ、
なんとかグールドに面会でき、直接手渡すことが
できた。その際私のつたない英語で、私の作品で
ある
H型コートハウスの頁を開き、このコートハ
ウスは6面がコートに面することができると説明
した。グールドは“オウ、サイエンスグッドアイ
デア!”といってくれた。グールドは写真ぎらい
であるからと係員に止められ、2ショットは果た
せなかった。
いやしくも建築家の末席でも汚そうとするものが
、そんな2ショットに一喜一憂するなんてはした












ないといわれるかもしれない。しかし私はただ書
物だけの頭でっかちにならずに、なにか行動して
この興味深い世界に少しでも参加してみたかった
のである。
この稿を書き終えようとするころでも、書店を覗
けば新たな(SN)関係の本が次々と出版されて
いる。私も目に止まった本はすかさず購入してい
るが、まだ読んでいないので、今回はリストアッ
プできない。しかしきっと面白いに違いなく、こ
れからもまた、(SN)の読書が至福の時をもた
らしてくれるであろう。

   2002年 1月 5日   篠崎好明
 初出:
 
住宅建築/建築資料研究社 1996年2月号
      「私の本棚」より












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