'02年3月以来、3年半ぶりの近況私的メモであ る。 ・・・これでは近況メモといえない。そこでこれ からは「近況私的メモ」あらため「時々近況」と することにします。 相変わらずのビンボーヒマなしではあるが、特に この2、3年はわが建築家生涯でも極めて多忙で あって、こちらの欄まで手が回らなかった。 どうやら、IT時代、インターネットからのオイ シイ依頼が結構あって、少し受注オーバーぎみの ところがあったかもしれない。 それとインターネットからの依頼主は情報収集に 長ておられて、ご要望レベルも高く、手強い。 ITによって、よい依頼主とめぐりあえるように なり、ありがたい時代になったのであるが、依頼 主の満足、納得を得られるにはますます手がかか るようになった。 一方因果なことに、私も経験を積むほどに家づく りの奥深さをおもい知るようになり、また設計の ワザも監理の経験も豊富になり、ますます仕事の 手が込んできて、仕事は遅くなりがちとなる。 自ら多忙に追い込んでしまっているところがある。 受注件数を従来どおり押さえていても、近年ます ます多忙になる。 ここは受注量を少し減らし、ポテンシャルを高く 保ちながら一つ一つ時間をかけて丁寧にやる、 「ヴィンテージスタイル」をとっていくしかない |
か、とおもうこのごろである。 「ヴィンテージ」とはなにか 「ヴィンテージ」とは、ワイン用ブドウの収穫か ら由来し、もとは年代ものの、または優良なブド ウ収穫の年の、優良銘柄のワインを形容している。 こんにち拡大形容されて、「ヴィンテージカー」 、「ヴィンテージカメラ」、「ヴィンテージウオ ッチ」、「ヴィンテージオーディオ」、・・・と いわれるようになった。 私はこれらのものに共通する内容を解釈、定義、 適用して、そしてさらには私の手がける家も、 「ヴィンテージハウス」とよばれるようになれれ ばと願う。 私の定義する「ヴィンテージ」とはなにか、私の 家づくりの姿勢、価値観、を問われることにもな るので、ここで具体的事例をあげながら記述して みようとおもう。 ヴィンテージとはただ古き良きものを指すもので はない。希少価値を誇るアンチーク・骨董趣味で もなく、情緒的な懐古趣味でもない。 ヴィンテージものとは、その分野が生まれて最も 成熟してきて、まだ市場原理が働く前、その分野 の最も成熟した人々により採算性を考えずに人知 を尽くし、テマヒマかけててつくられたものであ る。したがってそれらのものは、現在でも性能、 能力が十分に通用するばかりでなく、 |
現代の市場原理、合理性では得難くなった価値、 魅力、普遍性を有するものである。 ただ私はワインや車にはうとく、それ以外の私 が「ヴィンテージ」の魅力として覚えるかぎり のものを具体的事例として挙げてみよう。 ヴィンテージの魅力−その1: 「ヴィンテージオーディオ」 まずは私の愛聴するスピーカー、 「GOODMANNS AXIOM80」 はまぎれまなく「ヴィンテージスピーカー」と いってよかろう。ただこのスピーカーは鋭敏す ぎてドライブするアンプによってガラリと鳴り 方を変える。私もこのアンプ選びには紆余曲折 があった。このアンプ選びについては、たしかに 昨年春('04年3月)までは 「QUAD44+606」に落ち着いて、それな りに楽しんで聴いてきた。 |