本コンテンツ内の画像はイメージであり、当事務所で建築・設計していないものも含まれます。
公開日:2017年10月14日
こんにちは、横山 浩介です。
コンクリート打ちっぱなしの外観はクールでカッコイイですよね。
見た目の良さ以外にもRC(鉄筋コンクリート)造には多くのメリットがあります。
*「RC造=コンクリート打ちっぱなし」ではなく、別の仕上げも可能です。
でも、周りの家を見渡してみると、ほとんどが木造住宅ですね。
総務省の調査によると、日本の戸建て住居の9割以上が木造建築のようです。
見た目も性能も優秀なRC造なのに、なぜ1割にも満たない普及率なのでしょうか?
そんなわけで、今回はRC造にスポットを当てて、その魅力とデメリットについて見ていきたいと思います。
上の写真のように、グレーで無機質なRC造もスタイリッシュでいいですが、
打ちっ放しコンクリートの中でも最も高級とされる仕上げ「杉板浮造り」も実にかっこいいですね!
↑杉板浮造り
杉の木目が浮き上がるように仕上げ、色味もスタイリッシュの中にも温かみがあって、とても美しいですね。
杉板浮造りするためには、通常の型枠に実付きの浮造りの杉板を打ち付けますので、その分の材料費と作業手間が掛かり高価な施工方法となります。
ですので、通常の打ちっぱなしよりコストが全然高いです・・・。
ただでさえRCは高いのに…。
打ちっ放しのリスクとしては、必ずしも綺麗に打ち上がる保証はないということです。
コンクリート打ちっ放しは、一般的に型枠にコンクリートを流し込んで施工しますが、その場合、型枠を外してみるまでどのような仕上がりになるか分かりません。
通常、密実にコンクリートを充填できるように、また型枠を外した時に綺麗に仕上がるように細心の注意を払って施工しますが、諸々の条件によって、ジャンカや目立つアバタが発生してしまうなどのリスクがあります。
↑上記はひどい場合です(このようになってしまった場合は適正な補修をして綺麗に仕上げてくれると思います)。
ジャンカとは表面上に空隙が生じた状態。
見た目以外にも、強度がコンクリートの半分以下になったり、鉄筋が腐食したりして、耐久性に重大な影響が出る場合もあります。
アバタとはコンクリート表面の気泡になります。
ジャンカ、アバタ等が発生した場合でも補修は可能です。
型枠を外してみれば問題の有無がはっきりと分かるので、その時点で、構造耐力が低下しないような適正な補修をすれば、見た目も機能も回復できますので、そこまで大きなリスクにはならないとは思います。
ただ、重要なのは補修コストです。
型枠を外したときの状況にもよりますし、どこまで完璧さを求めるかによります。意匠的にも構造的にも客観的に見てどういう状況かを建築家等の監理者の目線で判断してもらうといいでしょう。見た目に明らかに施工不良と判断されるようでしたら、施工会社に補修していただきましょう!
RC造は、圧縮に強いコンクリートと引っ張りに強い鉄筋を組み合わせた構造になるため、とにかくストロングです。
RC造の法定耐用年数は47年で、木造の2倍以上の長さです。
*実際には木造は65年、RC造は120年以上は持つとも言われています。
RC造の建築費用はどうしても木造よりも高くなりますが、2倍以上の耐用年数を考えると、1年当たりのコストは逆に安く、長い目で見るとRC造の方がお得なんてことも!?
「スクラップ&ビルドの時代」から「今あるものを使うという再生の時代」への移り変わりを考えると、RC造にして、住み継ぐという考えも良いのかもしれません。
誰しも一度は木を燃やしたことはあるとは思いますが、コンクリートを燃やした人はいませんよね?
RC造の主な材料はコンクリートで、コンクリートは不燃材料です。
つまり、RC造は家全体が耐火構造と言えます。
(防火地域にも耐火建築物として建築可能です。)
火事に強いことは明らかなアドバンテージですね!
地震・雷・火事・オヤジ。
でも、現代ではオヤジよりオフクロの方が恐いのかもしれませんね・・・。
話は逸れましたが、RC造は火事に強いだけでなく、地震にも強いのです。
RC造の中でも住宅等の低層や中層の建物に適している壁式RC構造は、壁と上下階の床スラブの6面で構成されたモノコック構造です。
モノコック構造は力が構造の一点に集中せず、“面”全体に分散してバランスよく受け止めることで高い強度を保ちます。
一般的な木造建築の、柱・梁で構成される「軸組み構造」では構造部材を“点”で接合するため、力が接合点に集中してしまいます。
30年以内に南海トラフ大地震が発生する確率は70%のようですので、大きな地震に備えるという意味でもRC造には優位性があります。
RC造は、柱と梁で持たせるラーメン構造のように柱型や梁型が出っ張ることなく、スッキリとしながらも内部空間を広くすることができます。高い強度を保ちながら、大空間を生み出すことも可能です。
また、型枠で作れる形ではどんな形でも自由にコンクリートを流し込めますので、半円や円柱型、大きな張り出しなど、自由度の高いデザインを採用できます。
RC造は躯体に継ぎ目がなく一体となっているため、抜群の気密性を誇ります。
断熱材等の施工を適正に行えば、外気温の影響を受けにくいため、年間を通じて空調費用を低く抑えることができます。
RC造の持つ建物本体の性能と開口部の方位や日除け等のその他の構成要素を、適切に設計することにより、夏は涼しく冬は暖かく1年を通して快適に過ごすことができます。
コンクリートのように比重の大きい物質は遮音性能に優れています。
壁式RC造の壁厚は一般的に構造設計厚さで150〜180mmですが、1平米当り400kg超の重量がありますので、他の構造(材料)と比較して遮音性能の面でも非常に優れています。
180mm厚のコンクリートの場合、50db(デシベル)以上の音を遮断します。
すぐ外が交通量の多い道路(80db)だとしても、50dbを遮音するので、室内では深夜の住宅街の静けさ(30db)くらいになります。
もちろん中から外への音もしっかり遮断してくれますので、シアタールームやプライベートスタジオの設置はもちろん、お子様が騒いでも、夫婦喧嘩が勃発しても安心です。
今まで見て来たように、RC造は見た目良し!強さ良し!性能良し!とパーフェクトですね。にも関わらず、戸建住居の9割以上が木造建築であるその理由は・・・
「お金が掛かる!」、これに尽きると思います。
RC造と木造を比べた場合、RC造は木造の1.5倍ほどになることが多いです。
仮に、木造で建築費4,000万円とした場合、RCでは6,000万円になるということになります。
差額をみると、なかなかインパクトがありますよね。
RC造はコンクリートや鉄筋などの材料を使うため非常に重くなります。そのため、強固な地盤が必要となります。
建築する際に地盤の強さを測り、もし建物の重量に耐えられない地盤だと判明すれば、地盤改良や杭打ち工事などをする必要があり、余計に工事費用がかかります。
RC造の解体費用は木造よりも断然高いです。
木造住宅の解体費は坪単価3万円程度が相場ですが、RC造では坪単価4~5万円くらいが相場になります。
「改築の難しさ」「木造に比べて壁が厚くなるので狭小には不利」ということくらいでしょうか。
見た目上の経年劣化は木造でもしますし、断熱もやり方次第です。
RC造にするのに仮に+2,000万円を掛けるのであれば、別のところに掛けたいというケースは多いです。
今回はRC造のメリットにスポットを当てましたが、木造には木造にしかない良さがあります。
どちらが良いということはありませんので、人それぞれでしょう。
「ご予算が豊富にある」「出来る限りの耐震対策・防音対策をしたい」「見た目が好き」などがあれば、RC造はお薦めです。
私はRC造も木造もどちらも好きです。
どちらの構造での設計も承っていますので、お気軽にご相談ください。
ご相談はこちらから。まずはお気軽にどうぞ。
WEBからのお問い合わせはこちら
TEL:045-827-3741(090-8941-3673)
公開日:2017年10月14日
Copyright ©横山浩介建築設計事務所 All Rights Reserved.