採光とプライバシー

「採光・開口」と「プライバシー」の両立のためには?

横山 浩介(一級建築士)

本コンテンツ内の画像はイメージであり、当事務所で建築・設計していないものも含まれます。

高低差のあるバリアフリーな住まい「鶴見の家」

 

こんにちは、横山 浩介です。

ご要望があれば「土地を探す」ところからご一緒させて頂いていますが、皆様「理想の土地が見つからない!」ということで大変苦労するケースが多いです。

中には年単位で探されている方もいます。

 

「理想の土地」の条件は皆様それぞれ異なりますが、共通項として挙げられるのが「南向きに開けた土地が良い!」ということです。

南向きに開けた土地が良いこと自体には異論はありませんが、この条件はひょっとしたらそこまで拘る必要はないのかもしれません。

南向きに拘ると「土地値が高い」「立地が良くない」などで、いつまでも「理想の土地」に出会えずにモンモンとしかねません。

 

きっと皆様の真の目的は「南向き」であることではなく、光がさんさんと差し込む「明るい家にしたい」ということだと思います。

その目的を達成するための手段の一つが「南向き」であるように感じます。

 

「明るい家」に「南向き」は必須条件ではありません。

仮に、南側が完全に隣家と密接していても「明るい家」は実現できます。

 

そんな訳で今回は、明るい家を実現するための「採光と開口」、それに伴う「プライバシーの確保」について見ていきたいと思います。

 


 

設計時にヒアリングすると、ほぼ100%の確率で「大開口にして明るいリビング・ダイニング・キッチンにしたい」というご要望が挙がります。

それはそうですよね。家族が集まるところは自然光で明るい方が良いに決まっています。

 

ただ、採光しやすい道路側を大開口にすればするほど、周りから家の中を見られる面積も広くなります。

プラン上では大開口で喜んでいたものの、いざ家が建ってみると人の目が気になり、結果いつもカーテンを閉めないといけない・・・、そんなことは絶対にあってはなりません!

 

ロケーションが良くて周囲が大自然でしたら、大開口のガラス張りにしても気兼ねなく生活できますが、一般的な住宅街ではそのままではプライバシーの確保が難しい場合がほとんどです。

 

住宅街であっても、南向きでなくても、窓からさんさんと光が差し込み、また、綺麗な景色を眺められるように、私は、敷地全体を使って新たな環境を造るという意識で設計に取り組んでいます。

 

さて、それでは具体的に道路側に開口を設ける以外の採光方法について挙げていきたいと思います。

(1)中庭(箱庭・坪庭)

 

このコラムを書くに当たって振り返ってみると、当事務所が手掛けた多くの家に中庭を設けているようです。

しかも、1つの家の中でいくつもの中庭(箱庭・坪庭)を設けている家も多数あります。

つまり、中庭はそれほど採光・開口にとって、有効な手段であり、住宅密集地に欠かせない手法ということでしょう。

 

中庭であれば、建ぺい率にカウントされませんので敷地の有効活用が可能です。

道路側の開口とは違い、中庭であればレース状のカーテンさえ不要です。

 

ラグジュアリーな住まい「ルーバーコートの家」の浴室と中庭

 

可能であれば、中庭には植栽をお薦めしています。

植栽の緑を囲むように部屋の配置をすることで、どの部屋からも緑を眺めて楽しめる心地の良い日々となるでしょう!

 

また、天気のいい日にはセカンドリビングとなり、緑を愛でながらアウトドアライフを楽しむこともできます。

 

ラグジュアリーな住まい「ルーバーコートの家」

 

植栽をライトアップすることにより枝と葉が幻想的に浮かび上がり、とても雰囲気のある魅力的な外部空間になります。

 

ラグジュアリーな住まい「ルーバーコートの家」

 

(2)テラス

 

ただ単にテラスを設けるだけですと丸見えになってしまいますので、壁やすりガラスなどで覆って外部からの視界を遮った上でのテラスはとても効果的です。

 

和モダンな住まい「縁側の家」

*外側には庇状に屋根を出し、夏の直射光は入れないようにしています。

 

お家の内部と外部が連続する奥行きのある魅力的な空間を造ることができます。

 

木のぬくもり「ナチュラルハウス」

 

(3)トップライト(天窓)・ハイサイドライト(高窓)

 

トップライト(天窓)は天井に設ける窓で、ハイサイドライト(高窓)は壁の高いところに設ける窓になります。

設置場所を考えれば、どちらも外部からの視線に晒されることはありません。

 

トップライト(天窓)

 

トップライトは「通常の窓の3倍も採光できる」と言われています。

 

建坪8.4坪の大空間「都心の超狭小住宅」のトップライト

 

緑あふれる「ここたまの家」のトップライト

 

ただ、3倍採光のトップライトにも大きなデメリットがあります。

対策をせずに南向きに大きなトップライトを作ってしまうと、夏はもう暑くて暑くて大変なことになってしまいます。

スクリーンなどを開閉できるようにする、または、方角をしっかり考えて作る必要があります。

しっかり考えて作れば、日中は真っ青な空を眺め、夜は綺麗な星空を眺められるなど、視覚的にも開放感をもたらしてくれます。

 

ハイサイドライト(高窓)

 

ハイサイドライト(高窓)も効果的です。

 

緑あふれる大空間「ORIENTAL SKY HOUSE」のハイサイドライト

 

外からの視線を避けながら、十分な陽光を採り入れることができます。

開閉窓にすることで、室内の熱い空気を効果的に排出させたり、通風窓としても高窓は役立ちます。

 

(4)吹き抜け・階段

 

今までの1~3は外部からの採光ですが、一度取り込んだ陽光を壁や床で遮断してしまうのはとてももったいないことです。

吹き抜けにして、下の階まで光を取り込みます。

階段も同様に吹き抜けとなりますので、階段もうまく活用して光を下の階まで運びます。

 

繋がりのある大開口「桜山の家」

 

建築実例

 

次に、南側に隣家が接している場合にどのように対処したか、当事務所の建築実例を元に見ていきたいと思います。

 

ホテルライクな空間「ツインコートハウス」

 

敷地は南側と東西側に隣家が接していて、普通に南側に開口を設けて陽光を取り入れようとしても、室内から見える景色は隣家の外壁や窓であったり、隣家からの視線が気になって開放的にできない状況でした。

そこで、光を取り入れながらも隣家や雑多な景色を見たり見られたりしないようにするために、南側に中庭を設けて半透明の塀で囲いました。

 

 

コートにはシマトネリコの緑を植えて、風も抜けるようにしています。
このようにすることで、プライバシーが保たれながらも明るくて開放的な空間となっています。

 

 

リビング・ダイニング・キッチンの内部から連続する中庭の外部が一体となり、伸びやかな空間となっています。
中庭の緑や青空を眺めながらの生活を楽しまれているようです。

 

ホテルライクな空間「ツインコートハウス」

 

360度の大展望「回遊テラスの家」

 

敷地は鎌倉の高台にあり、南北に長く、東西が開けて海や山の景色を眺められる絶好のロケーションにあります。

この大自然を眺めながら開放的な生活をしたいとのご要望がありました。

南北は隣家が近接していたので、南北はあえて耐力壁としてあまり窓は設けず、東西面をガラス張りの大開口としました。

 

 

また南北に長い一枚の屋根を掛けてダイナミックなプロポーションにしました。

家の中心にあるファミリーデッキの屋根を開口して、昼間は南からの陽光をダイニング・キッチンに取り入れられるようにして、夜はテラスから月や星を眺められるようにしています。

 

 

ガラス張りの部分にはロールスクリーンを設けていますが、日々の生活が山の頂から景色を眺めるような感覚ですので、日中はオープンにして陽光を取り入れて景色を楽しみ、夜はロールスクリーンを下ろしてプライバシーを確保しています。

 

東西の大開口や屋根の開口により、東から昇った陽が西へ沈む時々刻々の移り変わりを感じられ、四季を通して移りゆく大自然を眺められるなんとも羨ましい住まいとなっています。

 

360度の大展望「回遊テラスの家」

 

まとめ

 

どんな状況下でも創意工夫すれば、プライバシーを確保しながら「明るく魅力的な家」は実現できます!

諦めずに是非一度ご相談ください。

 

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