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公開日:2018年03月26日
こんにちは、横山 浩介です。
今回のテーマは「地下室」のメリット・デメリットとなります。
地下室というと、窓がなく薄暗くヒンヤリした空間を思い浮かべませんか?
それはもう過去の話です。最近の地下室は、明るく快適な空間にすることも可能です。
↑光あふれる大開口「ルーバーテラスの家」の地下室
地下室を作る目的は大きく2つに分けられると思います。
目的に応じてメリット・デメリットも異なって来ますので、目的別に見ていきたいと思います。
家を建てる場合、その土地に対して建ぺい率、容積率、高さ制限などのさまざまな制限が設けられています。
住宅地の場合など、これらの制限により、欲しい間取り・スペースが確保できない、また、3階建て・4階建てと上に伸ばせないケースがあります。
そのような場合に地下室は実に効果的です。
一定条件を満たせば、延床面積の1/3まで容積率が緩和され、高さ制限もクリアした上で3階建て・4階建ての家が建てられます。
1~2部屋多くできるわけですから、メリットは計り知れません。
この(1)のケースの場合、地下室に求められるのは地上の空間と同じような「快適な居住性」になります。
地下室のデメリットには「湿気がたまりやすい」「暗くなりがち」というものが挙げられます。確かにちゃんと考えて造らないと、暗くジメジメとしたカビ臭いスペースになりかねません。
そうならないための、明るく快適な空間にするための対策を見ていきたいと思います。
ドライエリアとは、地下室と地面との間に設ける掘り下げられた空間になります。
中庭のようなスペースとなり、ドライエリアを設けることによって、過剰な湿気を逃がしながら自然光を取り込んだり、心地良い風を送り込んだりすることができるようになります。
*地下室では避難経路の確保が必須です。ドライエリアはそういった点でも効果的です。
一部を地上階と繋がる吹き抜けにして、地上階にも窓を設ければ、より一層自然光を取り込め、明るく快適な空間となります。
「ドライエリアを設けるスペースがない」「ドライエリアを造るコスト負担が重い」などの場合、地下部分を完全に地面の下に埋めるのではなく、出来る限り地上に出し「半地下」とすることで、光と風を取り込めるようにします。
ただし、地上に出し過ぎると(建築基準法上の)地下扱いと認められなかったり、高さ制限に引っかかったりしてしまうので、そのギリギリのラインを狙います。
*建築基準法では、床面から地盤面の高さが天井高の3分の1以上埋まっていて、天井が地上高1メートル以下の場合、地下室として認められます。
↑建坪8.4坪の大空間「都心の超狭小住宅」の半地下
上記3つの対策のうちいずれか一つ、または、複合的に行うことによって、地上の空間に「近い」快適性を得ることができます。
ただし、地上の空間と「完全に同じ」レベルの快適性は正直難しいです。その代わりに防音性・遮音性に優れるといったメリットなどもありますので用途・考え方次第となります。
(1)の条件緩和と並び、地下室の大きなメリットとして挙げられるのは「防音性・遮音性」になります。
遮音性に優れたコンクリートと土に囲まれた地下室は、外部の音を遮るだけでなく内部の音を漏らさない防音性抜群の空間となります。
この(2)のケースの場合、地下室に求められるのは「防音性」という地下室ならではの特色を活かすことになります。
もちろん(1)で挙げたドライエリア・吹き抜け・半地下を設けても、地上階に比べれば防音性は高いです。
ただ確実に防音性は下がってしまいますので、大音量で映画を見たい、思いきり楽器を弾きたいというために地下室を造るのであれば、窓のない地下室というのも選択肢に入ってくるかもしれません。
この場合、「快適性」より「防音性」が優先となりますので、自然光は得られない状態になります。
通風もできませんので、機械によって人工的に空気の入れ替えと湿気対策をする必要がありますので、設備面を見ていきたいと思います。
タイマーで一定の時間だけ作動するようにもできますし、排水設備をあらかじめ設けておけば自動的に排水することもできます。
わざわざ水を捨てる必要はありません。
私自身は設置したことはありませんが、DAIKIN社の「ルームドライヤー」という水捨て不要の24時間除湿機もあるようです。
↑ルームドライヤー
南北通風や換気扇によって空気の入れ替えをすると思いますが、室内の湿度が高い時は除湿をしながら冷暖房で室内温度を調整するといいでしょう。
最近は除湿機能付きのエアコンもありますので、こちらを使えば一石二鳥ですね。
夏以外は換気扇などで空気の入れ替えを行います。
ただし、一般的な換気扇の場合、室内の空気と外気を単純に入れ替える形式になるため、冬は温かい空気を外に逃がし、冷たい空気を取り込んでしまいます。
地下室では換気扇利用率が高い状態となりますので、これでは常に寒い状態となってしまいます。
そのため、ロスナイ換気と呼ばれる全熱交換機で、外から取り込む空気を室内の温度に近づけて取り込むなどの対策が必要です。
また、冬の結露の原因は室内の湿度の高さに一因があります。ロスナイ換気なら、湿気を効果的に排出することも可能となります。
ここまで目的別に地下室のメリットと、またデメリットの回避策を書いて来ましたが、ただ一つ回避できない大きなデメリットがあります。それは「コスト」です。
地下室を造るためには、山留め工事、型枠工事、鉄筋工事、コンクリート工事、防水工事等など、通常の基礎工事とは違い、とても多くの費用が掛かります。これは避けられません。
ただ、デメリット以上に大きなメリットがありますので、状況・目的によっては、積極的に活用して頂ければと思います。
建築予定がある方は是非お気軽にご相談ください。
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公開日:2018年03月26日
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