二世帯住宅

二世帯住宅の3つのタイプと気を付けたい4つのこと

横山 浩介(一級建築士)

本コンテンツ内の画像はイメージであり、当事務所で建築・設計していないものも含まれます。

公開日:2019年12月02日

こんにちは、横山 浩介です。

「二世帯住宅を建てたい」というご相談をいただくことや、実際に設計することが比較的多くあります。

 

テレビ東京「完成!ドリームハウス」で紹介された『高低差のあるバリアフリーの二世帯住宅「鶴見の家」』

 

お互いの世帯が助け合えるので、私としては、二世帯住宅はとても良いものだと捉えています。

例えば、親世帯と同居することで家事や子育てのサポートを受けられますし、逆に、親の加齢に伴う様々な問題を近くでサポートできる安心感があります。

また、子世帯は親の温かさに触れることができますし、親世帯は孫から元気をもらうことができるなど、精神的にも豊かな生活ができます。

 

 

さらに、別々に2棟建てることに比べて建築費を抑えることができ、また、「小規模宅地等の特例」によって最大80%の相続税を減らすことができる(※)など、様々な経済的メリットを享受することもできます。

※特例適用には一定の要件があります。詳しくは国税庁のホームページにてご確認ください。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4124.htm

 


 

ただ、家を建てる際でもその後の生活でも、夫婦2人だけでさえ意見の相違によって夫婦喧嘩が勃発することがあると思います。

二世帯住宅の場合、大人4人の意見が複雑に絡み合いますので、竣工までの道のりはそれはもう大変です。心して掛かってください笑

竣工後の生活では、揉めないように生活空間を完全に分けるか、または、1つの家族として心を寛大にしながらも気兼ねなく言い合えるONE TEAMになるかが大事なようです。

 

前置きが長くなりましたが、建築家としての観点から二世帯住宅について書いていきたいと思います。

 

そもそも二世帯住宅とは?二世帯住宅には3つのタイプ

 

二世帯住宅とは、親世帯と子世帯などの二世帯が一緒に暮らす住宅になります。

つまり、二世帯が一緒に暮らせば二世帯住宅となる訳ですが、二世帯住宅の中でも以下の3つのタイプに分かれると思います。

「完全分離タイプ」

玄関から2つあり、キッチン、お風呂、トイレなども世帯ごとに設置し、完全に分離した生活が可能なタイプです。

1つ家の中に、2つの家があるイメージです。

「一部共用タイプ」

全てを完全に分離させずに、一部を親世帯と子世帯で共用するタイプです。

玄関と水まわりは共用して、リビング・ダイニングは分けるなどのイメージになります。

「完全同居タイプ」

リビング・ダイニングも分けずに、個室を除き、完全に共有するタイプです。

サザエさんの磯野家のようなイメージです。

 

どのタイプがお薦めか?

 

お施主さまごとに事情や環境、趣味嗜好が異なりますので、どのタイプがベストかはお施主さまごとに異なりますが、あくまで第三者の建築家の観点からしますと、一番無難なのは「完全分離タイプ」だと思います。

 

まず、プライバシーがしっかり確保できるという理由が挙げられます。

また、住居部分が完全に分離・独立していることで意見・要望が衝突することが少なく、親世帯・子世帯それぞれの好みを反映させることができます。

他にも、同居を前提に二世帯住宅を建てた場合に(実際に同居するまでの期間は)一方を貸し出すことができるなど何かと融通が利きます。また、将来的に子世帯だけになってしまった時なども同様です。

場所によっては、流行りのAirbnbとして活用することもできるかもしれません。

 

「一方に住み、一方を賃貸に」ということができますので、万が一、家族関係が悪化して家の売却が必要になった場合も買い手がつきやすい傾向にあります。

さらに、完全分離タイプにすることで、不動産取得税、土地や建物の固定資産税の軽減といった優遇措置を受けられる場合があるなど、完全に分離していることのメリットは多いです。

ただ、完全分離タイプの最大の問題は、「建築コストが高くなること」と「土地の広さ(スペース)が必要になること」です。

実際に多いケースは?

 

親世帯の持っている土地に子世帯が家を建て替えるケースが多く、土地の広さに制約がある場合がほとんどです。

完全分離タイプでは各設備が2つになることからそれなりのスペースを要します。必要な間取りを考えた場合、完全分離タイプではスペースが足りずに一部共用タイプとなるケースが多いです。

ただ、一部共用タイプでは設備が1つで済むことで建築コストを抑えることができますし、距離感が近いことで真の家族になれるという大きなメリットもあると思います。

 

二世帯住宅で気を付ける点

 

二世帯住宅を建てるに当たって、気を付けて頂きたい点を4つ挙げたいと思います。

 

(1)共有設備と間取り(一部共用タイプ)

 

一部共用タイプでは、スペースやコストのせめぎ合いの上、どの設備・スペースを共用するかを検討します。

親世帯と子世帯では生活時間帯がズレると思いますので、共有する設備や音の問題などに配慮した間取りをしっかり検討する必要があります。

この間取りの検討が甘いと後々のストレスの元となってしまいますので、ここは時間を掛けてじっくりと話し合うことをお薦めします。

 

 

(2)将来を見据えた設計

 

人生100年時代です。長いスパンで考えておかないと、住み始めの数年は快適でも、将来的には不便な家になってしまう可能性があります。

親世帯と子世帯の生活空間の割り振りはもちろん、バリアフリーにする、エレベーターを設ける、ヒートショックが起きづらいようにするなど、今すぐは不要だと思うことでも先々を見据えて検討されることをお薦めします。

また、将来的に間取りを変更しやすいように設計しておいた方が良いのかもしれません。

 

(3)税金の軽減措置や優遇制度

 

二世帯住宅の場合、軽減措置や優遇制度が適用されるケースがあります。

例えば、建物の構造が一定の要件を満たせば、「不動産取得税」と「固定資産税」が軽減されます。

相続税に関しては「小規模宅地の特例」や「住宅取得等資金贈与の非課税枠」などの優遇税制を利用できますので、事前に各地方自治体に相談されることをお薦めします。

※各地方自治体によって二世帯住宅の要件は異なります。

 

(4)建築費の負担割合

 

土地・住宅の登記は、基本的に費用を出した割合で決まるため、登記・相続を検討した上で、建築費用の負担割合を決める必要があります。

仮に、建築費を親世帯が全額負担したのに子世帯名義で登記をすると、贈与とみなされる可能性も出てきますので、お気を付けください。

また、兄弟姉妹がいる場合は相続トラブルを避けるためにも事前によく話し合い、決定事項を書面に残しておくことをお薦めします。

※言った言わないだけですと、経済面・介護面の不公平感などで争いを生じやすいようです。

まとめ

 

二世帯住宅は、ストレスが起きづらいようにしっかりと事前にご検討いただくことで、サザエさんの磯野家のように、温かい和気あいあいとしたお家にできると思います。

 

二世帯住宅の建築をご検討の方は是非お気軽にご相談ください。

ご相談はこちらから。

WEBからのお問い合わせはこちら
TEL:045-827-3741090-8941-3673

 

公開日:2019年12月02日

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